第一章 MASURAO

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「話ってなに?」 僕は昼食の小松菜をかじりながら聞いた。 「私ね…最近毎日同じ夢を見るの。」 「ふーん。アナスイはなんか眠れないとか言ってたなぁ。」 「…私もよ。 眠りにつく度にその夢で起こされるの。 …怖い夢なの。」 僕は夢を見ない。 だから笑ってしまった。 「そんなに怖いなら僕が一緒に寝てあげようか?(笑)」 「……夢にいつも悪魔が出てくるの。」 「悪魔?毎回かい?」 「毎回よ。」 よし子さんは僕を見た。泣きそうな顔をしていた。 「悪魔って…どんな?」 「……体は人間なんだけど、黒い尻尾が生えてて…頭は猫みたいなの…。 とても恐ろしい目をしてたわ…。人の目でも、猫の目とも違った。 そいつが近づいてきて… いつもそこで目が覚めるの。」 「・・・・・・。」 「益荒男さん?」 「・・・あまり気にしないほうがいいよ。」 「うん…。 ねぇ、本当に一緒に添い寝してくれるの?」 よし子さんは力なく笑った。 僕もただ笑顔を作ることしかできなかった。
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