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「話ってなに?」
僕は昼食の小松菜をかじりながら聞いた。
「私ね…最近毎日同じ夢を見るの。」
「ふーん。アナスイはなんか眠れないとか言ってたなぁ。」
「…私もよ。
眠りにつく度にその夢で起こされるの。
…怖い夢なの。」
僕は夢を見ない。
だから笑ってしまった。
「そんなに怖いなら僕が一緒に寝てあげようか?(笑)」
「……夢にいつも悪魔が出てくるの。」
「悪魔?毎回かい?」
「毎回よ。」
よし子さんは僕を見た。泣きそうな顔をしていた。
「悪魔って…どんな?」
「……体は人間なんだけど、黒い尻尾が生えてて…頭は猫みたいなの…。
とても恐ろしい目をしてたわ…。人の目でも、猫の目とも違った。
そいつが近づいてきて…
いつもそこで目が覚めるの。」
「・・・・・・。」
「益荒男さん?」
「・・・あまり気にしないほうがいいよ。」
「うん…。
ねぇ、本当に一緒に添い寝してくれるの?」
よし子さんは力なく笑った。
僕もただ笑顔を作ることしかできなかった。
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