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大丈夫、期待なんてしてないよ。
君は君だし、僕は僕で、君と僕は赤の他人。
君はヒロイン、僕は町娘A。
君はきっと僕に興味は無いんだろ?
*
春を感じる少し前。
認めていない孤独が僕を犯している頃。
僕はまた君に逃げた。
君は僕の質問には答えてくれないね、君は僕に質問しないね。
目も合わさない。話もしない。触れもしない。関わってない。
唯一の繋がりがメールとかいう都合の良い文明の産物。
文章に頼り表情も状態も機嫌や気分も分からないそれを活用し、嘘で整頓した文字を送りつける。
きっと君は望んでないだろうけど、僕はそうしなきゃ壊れそうなんだよ。
─痛いかもしれない。
そのクオリアを否定し続ける。
─辛いかもしれない。
その感覚質は間違っている。
“痛い感じ”“辛い感じ”
「胸が締め付けられる様な」
を前に置けば、嗚呼、立派なヒロインの完成だ!
別に、そんなものになりたい訳じゃない。なりたくなんかない。
例えばこの人生が誰かの脳内で描かれた空想の物語だったとして、僕は主人公にもヒロインにもなれはしない普遍的な人間なのだ。
死にたいとも思わないし生きたいとも思いはしない。
でも、凡庸な人生に飽きてきているのは確かだった。
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