僕を仮に町娘Aとして。

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「君は道化師だ。」 心の中で君へ送るよ。 間違っているとは言わせない、君はヒロインを望んでるんだろう? 主人公よりもヒロインだろう? 影のあるヒロイン─君は道化師だ! 残念ながら僕は主人公ではないのだよ。 君が主人公を見る、その目。あるいはヒロインを見る、その目。話すときの表情、声色、目の動き、仕草。heartが疼くよ。 ──狂おしく羨ましい。 君を見るヒロインが、主人公が。 ただの町娘Aでしかない僕は激しい疎外感に苛まれながら君を見ている。 羨ましいというクオリアは孤独感、疎外感との等式で示す事ができるだろう。 √孤独とするならば、√は外れ答えは妬み。 何故僕は君を選んだ。 遠い遠い君を何故僕は選んだ。 ─否、遠いのではない。僕は自ら離れたのだ。 「Iを見て」 私を見てと、僕を見てと、心が渇望する。 要は寂しいのか?僕は。 答えはyesだろう、分かっているさそれは。 僕はどんどん僕の嫌いな人間になっていくよ。 きっと君の嫌いな人間だ─── 例えば青年Aが居る。 Aは頭が良く友人の多い人間、所謂優等生だ。 彼を観察してみた。 Aは酷くわかりやすかった。 僕は、Aにとってただの町娘だ。 お分かりになるだろうか、─そう、ただの町娘。 Aには友人が居る。ヒロインかつ道化師の君もその一人だ。 Aは友人と普通に接してる。 「楽しそうだね、」 僕には酷く楽しそうに見えたよ。 Aよ、君は僕にそんな笑顔を見せてくれたことはないよ。 ─僕が悪いのは、知ってる。 優等生Aの物語で、きっと僕は登場しないだろう。 僕は拒まれているんだろ、Aよ。 それでもAに関わろうとするのはカリギュラ効果のせいだよ、多分。
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