僕を仮に町娘Aとして。

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知ってるよって言わないくせに知っている。 知ってるのかただ話術に惑わされただけなのか。 よく分からないけれど、僕を仮に町娘Aと置くのなら、せんせえはアヤシイ商人ね。 * 僕は確実な逃げ道を知っている。 そこが僕の為の場所でないことだって知っている。 しかし、貴方がそこに居るから僕は逃げずにはいられないのだ。(嗚呼、なんと愚かしいことか、と笑うが良い) せんせえは人気者。 絶えず周りは賑わい笑顔と明るい声に満ちているよ。 きっと、僕があの中に入ってしまうとそれは途切れるね。 それは自惚れに似た感覚ではあるが、自虐でもある。 嗚呼、人気者のセンセヱ。 誰にでも優しく、他人の事を良くわかってる商人さん。 貴方のその優しさは本物だろうか? 素晴らしいね、その切れの良い頭。 その人が嫌がってる事も欲しがってる事もお見通しのアヤシイ商人さん。 ただの町娘である僕にも、その笑顔と愛想を振り撒きアヤシゲでありながら魅惑的な商品を披露してくれる。
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