第七章 相対する麒麟

17/27
1012人が本棚に入れています
本棚に追加
/394ページ
しかも亡きクリストファーに託された女性でもある。 私事と公事、個人と君主の狭間で詩鳴の心は揺れに揺れていた。 典禁「詩鳴様、ご決断を!!」 トドメとばかりに急きたてる典禁。 すると詩鳴は厳しい表情のまま苦渋の決断を下した。 詩鳴「この話は断ります。逆に王巍を討ち、天下統一を推し進めるのです」 断腸の思い、詩鳴はミシェルより天下万民の幸せを選んだ。 これに焦った典禁は詩鳴の説得にかかった。 典禁「詩鳴様、ミシェル様を御見捨てになるのですか?断れば気性の荒い星影のこと、間違いなくミシェル様は殺されてしまいますよ?」 さもミシェルの身を案じるように進言する典禁。 しかし詩鳴は動ぜずピシャリと言い放った。 詩鳴「私とミシェルは天下万民の幸せを願っています。一日も早く、一刻も早く、それが私達の願いです」 典禁「しかし…!!」 なおも食い下がる典禁に詩鳴は微笑んだ。 詩鳴「例え星影に殺されようと約束を果たせばミシェルは本望のハズです。私が逆の立場だったとしても同じ事、大望が成就するなら喜んで身を捧げましょう」 あまりの事に典禁は閉口した。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!