第七章 相対する麒麟

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若いながら堂々たる英才振りを見せる典禁はまさに麒麟児と呼ぶに相応しかった。 その典禁に対して詩鳴は凛とした態度で応対した。 詩鳴「雅継が病に伏せる現状なれど、勤勉実直な士が己の任を全うすれば揺らぐものではありません!皆こたびの習練で多くを学び、また新たな発見を得れば大きな力となるでしょう!流星、アルフェルド両名に遠慮する事なく師事をあおぐように!」 詩鳴の声が臣下で埋め尽くされた広場に響いた。 すると主君たる者の威厳か。 それとも詩鳴の持つ覇気の成せる業か。 典禁の時とは違い、京洛臣下達は片膝をついて詩鳴に拝礼した。 それは申し合わせたかのように整然とした動きだった。 典禁(なんだと…!) これには典禁も驚いて目を見開いた。 詩鳴の影響力をまざまざと見せ付けられ、内心動揺したのである。 しかし詩鳴の目を気にしたのか、直ぐに表情を引き締めた。 そして平静を装うと詩鳴達に師事を促したのである。 典禁「アルフェルド様、武官への師事はこの広場にてお願いいたします。流星様、文官への師事は大広間にてお願いいたします。すでに準備は万端、全て整えて御座います」
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