第七章 相対する麒麟

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典禁(くっ…!!) 狙い通り詩鳴は杯を傾けたが、典禁は構えたまま全く動けずにいた。 近くにいる詩鳴が巨大に感じ、討ちかかる隙が全く無いのである。 そして典禁は全く同じ光景を過去に体験していた。 典禁(同じだ…竜王と全く同じだ……) かつて星影に謁見した際、典禁は全く同じ感覚を体験していた。 英雄の発する覇気か、それとも君主として場数を踏んだ男の威厳か。 常人を従わす不思議な力、そんな力が典禁を見えない縄で拘束していたのである。 すると人払いしたはずの茶室に思わぬ訪問者が現れた。 孔延「茶会の最中に失礼いたします。平北の臣 孔延、詩鳴様に御挨拶したく伺いました」 丁寧な態度で会釈する孔延。 すると典禁は小刀を放して懐から手を出すと、椅子から立ち上がって孔延に会釈した。 典禁「京洛の臣 典禁と申します」 丁寧な応対で孔延に接する典禁。 しかし胸中では焦りが色濃くなっていく。 そんな気持ちを知ってか知らずか、孔延は典禁に突然の訪問を詫びた。 孔延「せっかくの茶会を乱して失礼しました。貴殿の活躍は多々聞き及んでいます、高名な典禁殿に会えて光栄です」
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