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詩鳴は国王である。
いかに兄弟同然の翔馬や紫遠といえど弱気は見せられない。
しかしただ一人、ミシェルにだけは全てをさらけ出せた。
もちろん弱音は一切吐かなかった。
それはミシェルの存在が詩鳴の心を強く支えていたからである。
しかし詩鳴は天下万民のためにミシェルを見捨てる覚悟を決めた。
それは身を何重にも引き裂かれる思い、魂が幾千にも千切られる程の苦痛だった。
そんな心情を孔延は敏感に察し、自らを犠牲にする詩鳴を強く諫めたのである。
孔延「詩鳴様とミシェル様の御志は立派で我々臣下は遠く及びません。しかし志のために御身の幸せを捨てる行為を臣下として見過ごせません!」
温厚で知られる孔延が語気を荒げた。
孔延「私達臣下は微力ながら詩鳴様のために尽力する所存です。ですから苦労を一身に背負う事はお止め下さい、私にも重荷を背負わせて下さい!」
感情の入り混じった震える声で孔延は訴えた。
まるで溜め込んだ感情をぶちまけるような心揺さぶる声だった。
孔延は辛さと悲しみの入り混じった表情で詩鳴を見ている。
そして、その強い想いが詩鳴の心底を揺り動かしたのである。
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