第七章 相対する麒麟

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詩鳴「孔延」 孔延「はい」 詩鳴「典禁」 典禁「は、はい!」 不意に声をかけられ典禁は慌てた。 すると詩鳴は二人に頭を下げた。 詩鳴「ありがとう。私は貴方達臣下をもっと頼るべきでした」 反省の弁を語る詩鳴に孔延と典禁は頭を下げた。 もっとも、典禁にしてみれば緊張で背中に冷や汗がにじみ、一言一句に胸を締め付けられる思いだった。 詩鳴は頭を上げると決然と言った。 詩鳴「孔延、貴方の進言通り星影の提案を受け入れます」 孔延「御意」 孔延は凛として拝礼した。 典禁はというと安堵で胸がスーッと楽になり、冷や汗を拭って吐息を漏らした。 さらに狼狽の色は消え失せて平静さを取り戻している。 詩鳴「典禁、直ちに王巍の使者に承諾したと伝えて下さい」 典禁「ははっ!!」 典禁は拝礼すると立ち上がった。 孔延「お待ち下さい!」 孔延が典禁を引き止めた。 典禁「なにか?」 典禁は怪訝そうに孔延を見た。 孔延「使者にお伝え下さい。後日私が親書を持ってお伺いすると」 典禁「かしこまりました」 典禁は孔延の考えを見抜いたが、敢えて伝える事を承諾した。
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