第七章 相対する麒麟

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典禁が席を外した茶室では詩鳴と孔延が向かい合って話を続けた。 詩鳴「孔延、親書の使者に立つのはミシェルに会うためですね?」 孔延「御賢察通りで御座います」 孔延は人の良さそうな微笑みを浮かべた。 孔延「詩鳴様、星影は我の強い男で御座います。ゆえに使者となって釘を刺し、ミシェル様の安全を計りたいと思います」 詩鳴は孔延の考えを理解した。 そのためか安堵して頷いている。 詩鳴「わかりました、星影に宛てる親書を書いておきましょう」 孔延「ありがとうございます」 孔延は軽く会釈した。 すると席を外していた典禁が茶室に戻った。 そして軽く会釈して報告した。 典禁「ただいま戻りました。使者は詩鳴様の返答を受け、先ほど王巍に帰国いたしました」 詩鳴「ご苦労様でした」 詩鳴は労をねぎらうと椅子から立ち上がった。 詩鳴「ではそろそろお暇しましょう」 典禁「詩鳴様、無粋なもてなし失礼いたしました」 典禁は詫び入るように深々と頭を下げた。 しかし詩鳴はやんわりと慰めた。 詩鳴「いいえ、貴方は利用されたに過ぎません。気にせず京洛に尽力して下さい」 典禁「ははっ!!」
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