第九章 通い合う想い

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すると流星は短く笑った。 流星「フフフッ…人間は自身の事となると案外わからぬものよ」 笑む流星に海炎は参ったとばかりに問うた。 海炎「解りませぬ、どうかお教え願いたい」 流星「良かろう。一つは彩紋の言った通り信頼を獲得するためだ。これについては説明する必要はあるまい?」 海炎達は承諾するように頷いた。 流星「よろしい、では二つ目を話そう。それは我が身を危険に晒した事に理由がある」 彩紋「危険に晒した……」 彩紋は瞑目して思案を巡らせた。 海炎達も思案したが、浮かぶのは剣を突き付けた光景ばかりである。 そんな海炎達を眺めつつ流星は説明を続けた。 流星「私はある事を知るため敢えて我が身を危険に晒した、それは……」 彩紋「我々の資質と適性を知るためですね?」 説明を遮って発言した彩紋に流星は満足気に頷いた。 流星「御名答。さすがは彩紋だ、我が片腕と頼める逸材よ」 思わぬ流星の言葉に彩紋は喜びを露わにした。 彩紋「御過分なお褒め傷み入ります!」 彩紋は深々と拝礼した。 流星の片腕という事は高い地位を約束されたも同然である。 しかし流星は苦言を呈した。
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