第九章 通い合う想い

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流星「しかし意固地で思慮が浅く、我が身を顧(かえり)みないのが欠点だ。そのため今は一軍を率いる才覚だが、慎みを学び持ち、勤勉を欠かさねば将来的に翔権と並ぶ元帥となろう」 流星の言葉に蒼夜は感激した。 欠点は多いものの、翔権と並ぶ元帥になれると言われたからである。 翔権の勇名は天下に鳴り響いているだけに喜びは一塩だった。 そして、流星は海炎に視線を向けた。 すると海炎は流星に問うた。 海炎「軍師、貴方は我々の資質を見るためだけに身を危険に晒したのですか?」 流星「そうだ」 平然と答える流星に海炎は驚愕した。 海炎「何故です!?一歩間違えば軍師の命は露と消えたのですよ!?」 流星「それだけの価値が有ったからだ。それに人間は切羽詰まった状況こそ才覚が露わになるからな」 流星は短く笑うと海炎の資質を説いた。 流星「海炎、お前は彩紋、蒼夜、霧斗という傑物を束ね、一兵卒にまで気を配っている。更に人を見る目があり、戦略、武芸、用兵と軍事に優れている。お前ならば雅継と同様に国の統治を任せられよう」 海炎は眉一つ動かさないが、彩紋達は我が事のように頷いている。
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