第九章 通い合う想い

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流星「しかし情に脆いのが欠点だ。かつて星影と互角に戦いながらも敗れたのは部下に甘く、厳しく罰する事ができなかったからだ!」 これに海炎は瞑目して顔をしかめた。 流星「それゆえ部下の心にオゴリが生じ、そこを星影に漬け込まれたのだ。上に立つ者は時として心を鬼にせねばならぬ!」 流星の厳しい指摘に海炎は深々と頭を下げた。 流星「良いかお前達」 穏やかながら厳しさを含む呼びかけに海炎達は視線を向けた。 流星「これからの戦略でお前達の才覚は重要になるだろう。ゆえに欠点を克服し、詩鳴様の覇業を支える力とならねばならぬ!」 この言葉に海炎達の表情は一様に引き締まった。 その顔からは一切の不安が消え失せ、並々ならぬ覚悟がみなぎっている。 そして面構えを見た流星は満足気に頷いた。 それは何かに納得したような頷きだった。 すると彩紋は流星の頷きに違和感を感じて問うた。 彩紋「軍師、なぜ頷いたのですか?」 この問いに海炎達は怪訝な顔を向けた。 問い掛けの意味が解らないからである。 しかし流星は彩紋の問いが当然とでも言うように笑った。
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