第九章 通い合う想い

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海炎は極めて真剣な口調で言った。 海炎「しかし旅路にて寝食を共にし、立ち振る舞いや志に触れて次第に心惹かれました。そして心酔している己に気付き、詩鳴様と志を同じくする決意を固めたのです!」 海炎の真っ直ぐな瞳は力強く、一片の曇りすら無く澄んでいる。 すると流星は何を思ったのか失笑した。 その笑いには馬鹿にする感は全く無い。 流星「ハッハハハ…、海炎、私はソレを責めているのではない。それに詩鳴様も承知の上で受け入れたのだからな。しかし包み隠さず吐露するとは、お前の忠節は一本気な雅継に劣るまい」 海炎は意外そうな顔を見せた。 雅継の忠節を知るだけに褒め言葉は素直に嬉しい。 しかし自身の抱えていた後ろめたさを笑って許され、更に褒められた事に戸惑いを感じたのである。 これには彩紋達も同様の反応を示した。 すると流星は海炎達の反応を面白がりつつ理由を話した。 流星「フフフッ、意外そうだな?だが問題点の基盤はソコにある」 そう言うと流星は立ち疲れたのか、近くにある小岩に腰を下ろした。 流星「お前達は私怨を晴らすために詩鳴様を利用した。たが詩鳴様に忠誠を誓った、しかし私怨で動けなくもなった」
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