第九章 通い合う想い

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海炎達はようやく流星の指摘する問題点に気付いた。 そのためか一様に表情が冴えない。 流星「お前達は忠節と私怨の狭間で揺れていたハズだ!なぜなら詩鳴様の志はお前達の私情と相反する事だからな!」 流星の指摘に海炎達は何も言わず、肯定するように軽く顔を伏せた。 流星「つまり詩鳴様が危惧されたのはお前達の覚悟だ!生半可な気持ちでは詩鳴様の志は遂げられぬ。ゆえに詩鳴様は策を用いてお前達の迷いを断ち切ったのだ!」 海炎「我等の迷いを……」 ここで海炎は初めて気付いた。 いままで胸中に渦巻いていた様々な感情が消え失せている事に。 それは暗雲が天を覆い隠し、大嵐が吹き荒れている世界、それが一転して穏やかな晴天に変わったような気持ちだった。 流星は立ち上がると強い口調で言い放った。 流星「詩鳴様は私怨を糧にする術を語られた。それはお前達が自身の力で乗り越えると信じたからに他ならぬ!精進を欠かさず、亡き者の分まで生き、詩鳴様へ忠義を尽くすが良い!」 そう言うと流星は幕舎に向けて歩き出した。 海炎達は平伏して見送っている。 すると海炎は ふと思い出し、頭を上げて流星に問うた。
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