第九章 通い合う想い

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一方、流星は幕舎に戻ると詩鳴に成り行きを報告した。 小休止のため簡素な幕舎だが、それでも四畳ほどの広さがある。 その中で詩鳴は椅子に腰掛けて流星の報告を黙って聞いていた。 流星「これにより全て解決いたしました、今回の策は万々歳といった仕上がりで御座います」 報告を終えて流星は深々と拝礼した。 これに詩鳴は微笑んで満足気に頷いた。 詩鳴「ご苦労様です。これで戦略的な穴を心配する必要は無くなりました」 詩鳴からは安堵を感じられた。 なぜなら、ようやく王巍と智に対する足固めが完了したからである。 しかし安堵したのも束の間、詩鳴は真顔となって流星に命じた。 詩鳴「流星、開峰安に着いたら直ぐに智攻略の軍議を開きます。早馬にて周嘉に諸将の召集を伝えて下さい」 流星「心得ました」 流星は拝礼しながら感嘆した。 次に取るべき行動に詩鳴が迅速な頭の切り替えを見せたからである。 今は戦乱の世である、戦局は刻一刻と激変している。 ゆえに安穏は束の間、常に乱を忘れぬ事が重要である。 滅び行く者は常に安堵から乱を忘れ、安穏に陥り戦局を見誤った者ばかり。
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