1013人が本棚に入れています
本棚に追加
流星「うわっ!!」
思わず流星は悲鳴を上げた。
なぜなら身を斬り裂かれた感覚を受けたからである。
しかし詩鳴が持つのは羽扇である。
身を斬り裂くどころか傷一つ付いたりしない。
そう頭で分かっていても感覚は鮮明である。
そのため流星は驚きを隠せず、冷や汗を流して詩鳴を見た。
すると詩鳴は微笑んで流星を見ている。
流星「し、詩鳴様…こ、これは一体……」
冷静沈着な流星が狼狽えているのを見て詩鳴は思わず失笑した。
詩鳴「フフフッ、少し悪戯が過ぎましたね」
そして何か言おうとする流星を手で制し、気を落ち着かすよう促した。
それからおよそ二分弱、流星は呼吸を整えて冷静さを取り戻した。
すると詩鳴は穏やかな口調で流星に告げた。
詩鳴「流星、今度はゆっくりと同じ動作をします。よく見ていて下さい」
そう言うと詩鳴は再び羽扇を高々と掲げた。
しかし特に変わったところは見受けられない。
すると流星は ふとある事に気付いた。
流星「これは……」
流星が気付いた点、それは羽扇を握る部分が極端に短い事だった。
そのため羽扇が妙に長く見えたのである。
最初のコメントを投稿しよう!