第九章 通い合う想い

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流星「こ、これは……」 流星は目を見開いて驚愕した。 なぜなら突き付けられた羽扇が鋭い刃に感じたからである。 もちろん只の羽扇である、刃など無く、恐怖する要因は何も無い。 しかし羽扇に宿るオーラが刃のように感じ、まるで本物の剣を向けられている感覚を受けたのだった。 すると詩鳴は再び振り下ろす動作をゆっくりと行って見せた。 そして詩鳴は振り下ろす間際に羽扇を握り変え、流星の体スレスレを羽扇の先端で振り切ったのである。 しかし先ほどと違うのは終始一貫して刃の感覚を感じた事だった。 これにとうとう流星は降参して詩鳴に説明を乞うた。 流星「参りました、全く解明できませぬ。是非とも答えをご教授願います」 深々と拝礼する流星に詩鳴は驚きの表情を見せた。 それは、いかなる難題も全て解決してきた流星が初めて見せた降参だからである。 恐らく、これが流星にとって初めての降参である事は間違いなかった。 詩鳴「驚きました、貴方にも解らない事があったのですね」 詩鳴の言葉に流星は静かに頷いた。 流星「私とて万物を知る訳では御座いません。当然、解らぬ事も御座います」
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