第九章 通い合う想い

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すると流星は納得するようにウンウンと二度頷いた。 流星「巧妙な駆け引き恐れ入りました。これで海炎達は迷いを断ち切る事ができ、譜代の臣も異議を唱えないでしょう。戦略的にも大きな一歩で御座います」 流星は溜飲が下がったためか晴れ晴れとした表情を見せた。 そして伝令を出すため幕舎を出て行ったのだった。 すると一人、幕舎に残った詩鳴は表情を曇らせた。 詩鳴「怨恨は根が深く、人の心を変えてしまう……私は大望を遂げる日まで変わらずにいられるだろうか」 詩鳴は視線を落として嘆息した。 まるで何かに疲れたように……。 それから暫くすると出発を始め、無事に国境を越えたのだった。
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