第十章 星影の本性

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そう思いつつ孔延は控えの間で謁見の順番を待つ事にした。 しかし何時まで経っても孔延の順番が回ってこない。 しかも孔延の後から来た者が先に回される始末である。 これに孔延はふと気付き、接待役に近付いて申し出た。 孔延「済まぬが火急の用件にて早く謁見したいのです。これは少ないですがお納め下さい」 そう言うと孔延は懐から金の入った袋を接待役に握らせた。 すると接待役は中身を確認してニンマリと笑い「承知しました」と一礼した。 それから間もなく、孔延は星影に謁見する事を許されたのである。 これに孔延は内心ほくそ笑んだ。 孔延(役人が汚職に手を染めているようでは王巍の内部も安心とは言えぬな) そう思いつつ孔延は星影に謁見した。 孔延「平北の使者 孔延と申します」 孔延は深々と拝礼した。 星影「余が星影だ、面を上げい」 横柄な物言いで促され、孔延はゆっくりと面を上げた。 そして孔延は背筋に冷たい物を感じた。 なぜなら星影から感じる王者の覇気、それは万物を塵と化す強大な炎のようだったからである。 これに孔延は詩鳴の姿を思い浮かべ、目の前の星影と比較した。
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