第十章 星影の本性

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孔延は俯(うつむ)きつつ辺りを一瞥した。 すると幸いにも法信の姿が見えない。 孔延(星影は上機嫌で警戒心が薄い。交渉するなら法信の居ない今しかない) そう決断すると孔延は微笑みを浮かべて星影に答えた。 孔延「いやはや驚きの連続で御座います。都は文化が栄えて華やか、宮殿は豪華絢爛で眩く、王巍の臣下は品行方正で舌を巻くばかり。平北国では有り得ぬ光景で御座います」 そう言うと孔延は深々と拝礼した。 内心では我ながらよく嘘八百を並べ立てたと感心しながら……。 しかし星影はますます上機嫌となり高らかに笑った。 星影「ハッハッハッハッハッ!!孔延よ、お前は正直な奴だな!」 玉座に座ったまま笑い続ける星影。 これに孔延は好機とばかりに嘆願した。 孔延「事実を言ったまでで御座います。ところで竜王様、ミシェル様と面会したいのですが」 星影「なに?ミシェルにだと?」 途端に星影は笑いを止めて真顔になった。 そして眉間にシワを寄せて何やら悩み出した。 これに内心焦った孔延は平静を保ちつつ訊ねた。 孔延「どうかなされましたか?」 星影「うむ、実は法信に面会を厳しく止められていてな」
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