第十章 星影の本性

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孔延は意図が解らず問うと、星影はニヤリと笑って頷いた。 星影「そうだ、あれを見るが良い」 そう言うと星影は神殿の上部を指差した。 孔延「あ…あれは……」 孔延は驚愕した。 そこには星影を模した御神体が安置されていたからである。 それは全ての御神体を見下ろすような構図だった。 すると星影は両手を広げ、野心を剥き出しにして言った。 星影「これが我が野望の最終目標だ。これが何を意味するか解るか孔延?」 この言葉に孔延は戦慄した。 なぜなら星影という人間の本性を垣間見たからである。 孔延は努めて平静を装いつつ答えた。 孔延「解りませぬ……」 星影「ほう、解らぬか?」 星影はワザとらしい口調で訊ねるが、孔延は一貫して解らぬと言い張った。 もちろん理解していたが、星影の前で口にする事を嫌ったのである。 すると侍中が神殿を訪れて面会の準備が整った事を告げた。 星影「ふん、間の悪い奴め…まあ良い、面会するがよかろう」 孔延「御配慮傷み入ります。ではこれにて……」 孔延は別れを告げると一礼して神殿を後にした。 そして星影は神殿に残り、自身の御神体を眺めながら呵々大笑するのだった。
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