第十章 星影の本性

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孔延は侍中に案内されて宮殿通路を歩いていた。 ミシェルは星影の住まう御所ではなく、姉の瑠雨が住まう別館に監禁されていたからである。 とはいえ星影の御所に見劣りせぬ豪華絢爛な造りとなっていた。 そんな屋敷に孔延は足を踏み入れ、ミシェルの待つ部屋へと案内された。 すると扉の前には二人の守備兵が警戒している。 その守備兵は魁と環だった。 二人は若菜を救出した手並みが瑠雨に気に入られ、瑠雨の直属部隊に無理やり入れられたのである。 それから厳しい訓練を重ねた結果、二人は一人前の兵士に育ったのだった。 そして今ではミシェルの警護を担当するまでになったのである。 侍中は二人に面会の旨を伝えた。 魁「かしこまりました。環、使者殿を案内してくれ」 環「どうぞ、こちらで御座います」 侍中は扉の前で待ち、孔延は環に案内されて入室した。 部屋の広さや調度品を見る限り粗略な扱いは受けてないようである。 そして部屋の前に着くと、環はミシェルに拝礼して言上した。 環「平北国の御使者をお連れしました」 ミシェル「ありがとう。貴方は退がって下さい」
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