第十章 星影の本性

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環は一礼すると扉の方に歩いて行った。 ミシェル「中へ入りなさい」 ミシェルに促されて孔延は部屋へと入った。 すると視界に入った人物は紛れもなくミシェルだったのである。 孔延は深々と拝礼して無事を喜んだ。 孔延「よくぞご無事で…謹んでお喜び申し上げます」 孔延は感極まって涙を流している。 対するミシェルも孔延を見て驚き、安堵の涙を浮かべていた。 ミシェル「孔延殿…お久しぶりです」 再開に感極まって言葉にならない二人。 そのため暫しの静寂が部屋を支配した。 そしてようやく落ち着きを取り戻した二人は椅子に腰掛け、これまでの経緯を語り合ったのである。 ミシェル「では詩鳴様は御存命なのですね?」 孔延「はい、壮健で御座います。今頃は無事に開峰安へ到着している事でしょう」 この言葉にミシェルは心から喜びを露わにした。 なぜなら詩鳴は死んだと聞かされていたからである。 もちろんミシェルは鵜呑みにせず、詩鳴が生きている望みを捨てなかった。 しかし聞こえてくる情報は不穏なものばかり。 しかも戦略の道具に使われた事でミシェルは自責の念に苛まれていた。
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