―勧誘―

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山崎は彼の後ろに戻り、手を見て眉をひそめた。 (なぜ…? 一発消し? たしかに自分の手は正直、ゴミ手。それなら大本先輩の手が高くなるのを防ぐ…、といった感じかしら。一発を消して、後はベタ降り。それなら分からないでも……。) すると萩原、打九筒。 それを受け、大本が手を倒した。 「ロ…ロン。メンピン。裏ドラ無しで2000。」 (あー、振っちゃった…。…でも、萩原君の手に安牌は無い。しかも大本先輩の捨て牌からじゃタンヤオが濃厚。ヤオチュー牌の九筒切りはしょうがないか…。でもここは九筒切りで形テンなんて狙わず一萬打ちすれば良かったのに…。) すると、萩原は彼女の方を向いて、優しい口調で言った。 「山崎先輩、あんまり俺の手を覗かないで欲しいんだ。…気が散っちゃうからさ。」 「あ、うん…。ゴメン…。じゃあ、他の人の見てるね。」 すると、前田が言った。 「あ、山崎ちゃん。記録つけといてね。」 「あ、はい。」 このサークルには、和了った人やその和了り手、誰が何で振ったかやその時の河まで、事細かに記録する決まりがある。
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