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彼が校門まで来ると、彼女は声をかけた。
「ねぇ、君?」
男子は立ち止まると彼女の方を向いた。
「…俺…?」
彼は不審がる表情を浮かべていた。
女子は頷いた。
「君、『萩原龍介』君でしょ。あたし、高校1年の『山崎』。」
「…なんで、俺の名前を?」
山崎は笑って答えた。
「だって君、この学校じゃちょっとした有名人だよ? ここ、今年から女子校から共学に変わったの。だけど、それを公表するのを忘れたから、中学も高校も女子しか新入生がいなくて…。つまり、編入入学してきた君が唯一の男子ってわけ。だから、君は有名人。」
そう言われると、萩原は困ったように笑った。
「……で…、あんた、何の用? まさか、それを言うために呼び止めたわけじゃないでしょ…?」
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