star time.

１

朝の人通りは、意外と多い。遅刻しそうなやつとか、廊下で戯れる奴とか。それでいて、結構騒がしい。

…騒がしいのに。本当は聞こえるはずなんか、無かったのに。

その音は俺を呼んだ。俺だけがその音に魅せられて、惹きつけられた。

廊下でふと出会ったそのピアノの音は、脳裏に鮮明に焼き付いて、俺の足を奪った。

浚われた俺が辿りついた後には、凄く切なくて、ほんのり甘い優しさがあった。

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