-壱章-~喪失の復讐者~

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「えぇ…先日"本部"のホストコンピューターにハッキングした者の逆探知に成功したようです」 「何だと!?それで、一体何処に!?」   女子生徒の言った言葉に神崎は驚き、口調が強くなった   「とりあえず、落ち着いて聞いて下さい」 「あぁ…スマン、続けてくれ」 「はい…逆探知の結果、ハッキングが行われた場所は…この学園のPC室です」 「なっ…!?」   神崎は言葉を失い、しばらく考えこんだ   「…君はどう思う?」 「確証はありませんが…恐らく例の"黒衣"との関連はあるかと思います」 「やはり君もそう思うか…」   神崎は神妙な顔付きで腕を組み、椅子に体を預けた   「はい、ですので引き続き調査を行います」 「分かった、よろしく頼むよ…"血霧花"・藤波由衣(ふじなみ ゆい)」 「何、改まって言ってるんですか?」   突然フルネームで呼ばれた由衣は怪訝そうな顔をした   「いや、なんとなくな…」 「そうですか…では失礼します」   小首を傾げながら由衣は立ち去った   「…ふぅ」 一人になった神崎はため息を落としながら、一枚の写真を手に取って呟いた   「"黒衣"か…果たして…」   その写真はピンボケしていて見ずらいが、全身を"黒い"服で覆い、"黒い"刀を持つ者が写っていた
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