-壱章-~喪失の復讐者~

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「―やっぱり、統夜は相変わらずだねぇ~」 「…うるさい」   今は昼休み、場所は校舎の屋上 ―屋上は基本的に生徒は立入禁止となっている   ―そして今、そんな違反者である俺に話しかけている少年は鷹柳蒼夜(たかやなぎ そうや) "例外"の内の一人だ…  こいつ…蒼夜との関わりは去年から始まった 蒼夜の家は代々、剣術道場を営んでいる   "力"を求め、偶然入った道場で俺は蒼夜に出会った   俺にとっては"目的"のための足掛かりとしか思ってなかった   けれどこいつは何故か俺に近づいてきた ―何度突き放しても   それにこいつの"間合い" には驚かされる   常に相手の事を考え、絶妙な"間合い"に自分を置き、相手と交流する   ―俺には到底出来ない芸当だ…   そんな具合で俺はもう蒼夜が近くに居ることに妥協している   ―扉が開く音がした 「やっぱりここにいたのね」 屋上の扉の前には、黒い長髪の少女が立っていた 「蒼夜ったら、またお弁当忘れてるよ」 「お、サンキュ~叶」 少女の名は鷹柳叶(たかやなぎ かなえ) 蒼夜の双子の兄妹で、もう一人の"例外"でもある…
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