-壱章-~喪失の復讐者~

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「ハイコレ、統夜君の分」 叶が弁当箱を差し出す 「いつもいらん、と言ってるだろうが…」 と文句を言ったところで… 「どうしても多く作り過ぎちゃって…」 と片付けられる   ―この兄妹に関してはもう色々な意味で諦めた…   ―屋上に風が吹いた 「今日は風が気持ち良いね~」 「フフッ…そうね」 呑気そうな蒼夜に叶は笑いながら答える   ―叶の髪が風に揺れる 叶を一言で表すなら"大和撫子"が妥当だろう …まぁ俺には関係ないが   「とふぇろふぇふぁ~」 「蒼夜…物を食いながら喋るな」 口に含んでいたものを飲み込み、蒼夜がまた話し出す 「ところで叶、ここに居ていいの?またあの"妹"さん達が探してんじゃないの?」 「ん~あの子達はいい子なんだけどね…」 叶は苦笑する   ―この光聖学園は中高兼業の学園で元々は"女子校"だった それが何らかの理由で俺達の学年が入学する年に"共学"になった ―男子は全生徒の二割程しかいない 理由としては 学園が教会から始まったために神学思想であるという事が挙げられる そして最大の理由は学園の女子の大半が"同性"に意識があるからだろう… そして、叶はそんな年下の女子達に"お姉様"などと呼ばれている   …この事についても俺には何ら関係無い
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