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「おーい、HR始めるぞー」
騒がしい教室に担任が入ってきて席に戻るように促す。
生徒が席に着いたことを確認をすると適当に話を進めていく。俺はあまり重要ではない話だと思い、前もって開けておいた窓から外の景色を眺める。
朝の日差しが窓辺に差し込み、澄んだ青空と心地良い風が気分を清々しくしてくれるようだ。
この高校に入学して早くもひと月が過ぎていた。最初は何もかもが初めてだらけで戸惑ってはいたが、今は結構落ち着いた方だろうな。クラスの中にも話す奴が増えてきたし、ちょっと気になる女子とかもいる。
まぁ、そのことはあんまり触れるな。どうせ不釣り合いとか言われるのがオチだろうしな。どうせ俺は普通の人間ですよーっと。
顔、普通。背丈、普通。体型、普通。運動神経、普通。成績、普通。人生、普通。
……いや、俺にも何処かずば抜けたモノを持ってはいないかと考えてみたが、見事に普通としか浮かばねー……。悲しい。
俺は至って普通な人間であることは重々再認識した。ただ、俺の幼なじみは違う。
俺の幼なじみの祐二は顔、美形。身長、長身。体型、細身。運動神経、非凡。成績、非凡。人生、バラ色。うわぁ……、何か腹立つくらいのハイスペック人間だわぁ。
入学式からキャーキャー騒がれている奴だ。こんな奴が俺の幼なじみとは皮肉とし感じないな。
お? いつの間にかに出席確認に入ったようだ。俺の名前が呼ばれると当たり障りがないように普通の返事をした。
そろそろ祐二の名前を呼ばれるはずだな。
「えーっと、次は……祐二っ」
「居ませーん」
ウチの担任はやたらとフレンドリーにしたがるので、出席確認でも下の名前を呼ぶようにしている。
しかし、担任が投げたボールは祐二の席からではなく、近くの奴から返球された。
何だあいつ、また遅刻か……。
すると、廊下からパタパタと誰かが走ってくる音がする。あぁ、あいつだな。
担任が生徒名簿に欠席の印を書こうとしたその時、扉が勢いよく開かれる。
皆さん、ご紹介します。俺の幼なじみの祐二です。
「そうか、祐二は欠せ「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!!」」
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