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ボクはその手紙を広げる。
内容はやはり・・・・・・
「あなたを一目見たときから好きになりました・・・・・・あれからいつもあなたを目で追う日々・・・・・・朝いつもジョギングをしているあなたを見て・・・・・・」
「青春だな~」
「これ陸がイタズラで入れたんじゃないよね?」
「そんなことするかよ。ラブレターのイタズラほど悪趣味なものはないだろ」
「じゃあ、本当のラブレター?」
「机の奥に入ってるってことは、結構前のものじゃないか? 日付とかは?」
「ないけど・・・・・・この字は男子のものじゃないような気もするんだけど・・・・・・」
「歩にも春がきたんだな」
「やめてよ。名前もないし、誰なんだろ?」
「ラブレターをもらった経験は?」
「ないよ。同じ男子からなんて」
「ん? お前は女だろ?」
「え? あ、ああそうだった。そういえばボク女の子だったよね」
「その姿で男はないだろ──っておいどうした?」
床に手をついて落ち込んでいるボクを、陸が心配そうに見ていた。
「いやなんでもないよ。ちょっと絶望に苛まれて」
「?」
「はは、ははは・・・・・・はぁ」
ボクは大きなため息をもらした。
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