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帰り道、ボクはクシャクシャになった文面をもう一度見直していた。
「いったい誰が書いたんだろ・・・・・・」
ラブレターを見るのは初めてだった。
思えば要に告白した時は文面ではなく口頭で呼び出し伝えていた。
文面で表すなんて、ボクには恥ずかしくてできないことだ。
それにいつ机に入っていたのかもわからない物だ。
書いた本人はとっくに忘れているのではなかろうか?
だとしたらこうして考える必要もないのだが・・・・・・
「何よそれ?」
不意に声をかけられ、ボクはクシャクシャの恋文から顔を上げた。
そこには二組のクラス委員であり、ボクの恋敵である西条・瞳さんが立っていた。
「西条さん」
彼女の目はボクの恋文に向けられていた。
「へぇ~、ずいぶんと物好きな人がいたものね」
「ムッ、どういう意味さ」
カチンと頭に火花が散る。
西条さんは肩を竦め、
「だってあなたって、様々な男に言い寄っているじゃないの。そんな尻軽に好意を持つなんて、記念物並みの神経の持ち主じゃないかしら?」
「ボクは男に言い寄ってなんかないし、前に比べてお尻は重くなってるの」
出るとこ出てると重くてしょうがない。
「尻軽というのは、そういう意味じゃないわよ・・・・・・」
あれ? ボク何か勘違いしてる?
本気で西条さんが呆れている。
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