第一話 ラブレター?

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「ほら見せなさい」 「あっ! 泥棒!」 「ええっと、なになに・・・・・・・・・・・・グハッ!」 「吐血!?」   クシャクシャの恋文をグシャグシャに握り締め、西条さんが地面に倒れた。 「大丈夫なの西条さん?! ──っていうかこの文面見て吐血って?!」 「な、なんてこと・・・・・・こんなことって」 「とりあえず返してってば」 「待ちなさい! あっ! 泥棒!」 「泥棒はそっちでしょ! まったく油断もスキもないんだから」   グシャグシャになった恋文をポケットに入れるボクを、西条さんがじっと見る。 「まだ何か?」 「あなた、その恋文を誰かに見せたりとか?」 「したよ」 「ゴハッ!」 「どうして西条さんが吐血するの?! 無関係でしょうに」 「そ、そうよね。でも本来はあなたが無関係のはずなんだけど・・・・・・」 「西条さんは面白いなあ」 「ものすごいバカにしてるでしょあなた!」 「それじゃ、ごきげんよう」 「ちょ、ちょっと! それどうするつもり!?」 「え? とりあえず持ち主の二通目を待つよ」 「二通目って──ちょっと夏神さん!」   すでにボクはその場から走り去っていた。 「な、なんてこと・・・・・・」   彼女が地面にへたり込んでいることなど、知りもせずに。
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