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「ただいま~」
両親は共働きで夜にならないと帰ってこないため。
家にいるのはボクと弟の荘真。
そして居候の赤堂・深咲ちゃんの三人だけだ。
すでに荘真と深咲ちゃんは帰ってきているようだった。
二人の靴が並んで置いてある。
「二人とも部屋かな?」
靴を脱ぎ、ボクはリビングに入った。
するとそこには荘真がいた。
「おかえり」
ソファでテレビを見ながら、こちらには見向きもしない弟。
「ただいま、深咲ちゃんは?」
「二階にいるんじゃないか? さっきからやけに静かだ」
「そうなんだ。やっと家の工事が始まるんだってね」
「ああ、そんなこと言ってたな」
深咲ちゃんの家は全焼してしまい、彼女の住む家が今はないのだ。
彼女の父親は赤堂記念病院の院長をしているため、ほとんど病院にいるらしく、母親も同じらしい。
ボクの父さんと深咲ちゃんの父さんが親戚同士のため、こうして一緒に暮らしている。
「家ができたら、また深咲ちゃん一人になっちゃうね」
「仕方ないだろ。あいつの家なんだから」
「また燃やさなければいいけど」
「怖いこと言うなよ」
リビングを出て、階段を上がって自分の部屋に入った。
するとそこには私服姿の深咲ちゃんが、座って何かをしていた。
「はい、王手」
「ま、待て! 私はこれでも神なのだぞ!」
ボクはその場で豪快にすっころんだ。
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