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物音に気づき、近づいてきたのは二人だった。
「お姉さん、おかえりなさい」
「なんだ歩か」
「なんだじゃないでしょ、堂々とボクの部屋で何してるのさ!」
そこにいたのは深咲ちゃんと、桜の羽衣を纏う巫女装束の神様だった。
ボクは体を起こして神様と深咲ちゃんを交互に見た。
「っていうか深咲ちゃん、この性悪な神様が見えるの?」
『空気でデコピン』
「イタッ!」
鼻っ面が見えない何かに弾かれた。
「にゃにをしゅるのしゃ」
痛みに鼻を押さえるボクに、神様は小さい体でも威圧するようにボクを見下ろす。
「誰が性悪なのだ? 誰が?」
「わからないようなら教えてあげるよ。それはあな────」
『黙っていろ』
「んむぅー!」
口が開かなくなった。
そんなボクを見て深咲ちゃんが、
「本当に神様なんだ」
と無表情ながらも感動の声を漏らしていた。
「だから言ったであろう。力を見せたんだから【待った】をさせろ」
「ダメ。詰みです」
「血も涙もない娘だなお前は」
「これで十連勝」
「十連敗、くそぅ」
「んむぅむぅむぅー!!」
「うるさいやつだなお前は、ほら『話せ』」
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