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「ハッ、俺は一体何を?」
「良かった。元に戻ったようだ」
「何の話だ? さてと部活部活」
椅子から立ち上がった陸は鞄を肩に提げ、
「なあ歩、要との仲はどこまでいった?」
「抱きついたところまで──ってちょっと待って! 今のナシ! ナシだから!」
不意に訊かれた質問に、ボクは何の迷いも無く答えてしまった。
「ほう? もうそこまで進んでいたか」
「あれは夢だから、フィクションだから、妄想だから」
陸は顎に手を添え、うんうんと頷いていた。
「女子高生になって、お前も積極的にアプローチをするようになったんだな。感心感心」
「そ、そんなつもりじゃ・・・・・・思わず抱きついてしまっただけで・・・・・・」
「まあそうだろうな」
納得する陸にボクは胸を撫で下ろす。
「要の奴、意外とガードが固いから。告白受けてもさらりと返すタイプだろうし、って・・・・・・どうした歩? 机に頭を打ちつけ始めるなんて、お前らしくも無いな」
「雑念を消すにはこれが一番の
療法なんだよ、アハハ」
うぅ、心の古傷が・・・・・・
ボクはそんな話をしながら自分の鞄に教科書を詰め込んでいく。
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