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その女はどこにでもいるような顔立ちをしていた。
言い方を悪くすると、貧相であったのだ。
細い目、低くて丸い鼻、加えて膨らみのない胸。
高鳴りする要素など、どこを探しても見受けられない。
凡庸を極めたがために非凡な人、といった感じだ。
なんだかますます意気阻喪。
ふぅ、と長く息をつきたくなったけれど、それを誰かに聞かれでもしたら、今の言葉が伝わってしまいそうな気がしたので自重した。
彼女を一瞥してから自分に戻り、変にバッグを持ったまま立っていたことを思い出す。
あの席に座った男が本越しにちらちらと不可解そうに見ているのに気づいて、顔が熱くなった。
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