格闘

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 幼少貧しく育ったので「もったいない」と言い、節約という努力においては脱帽するばかりである。 これは、母のことで、お菓子のカンカンも収納ボックスにし、ラッピングのリボンやら包装紙を、溜め込むが、目的を果たすチャンスもなく、使用用途が「溜めるのみ」となっていることは、知らない。 アリのようにせっせと運び、用のない部屋は、ごく自然にうもれさせるので、ますます用はなくなる。 以前は自宅開業をして、ここは治療室だった。 一方、私の部屋は狭く、布団とテレビをおけばこれが限界で、雑誌のオシャレ部屋を見ては、やきもきしていた。 その‘巣’は、ここより断然、広かったので、お洒落の自惚れを満たす空想が出来た。 持ち主であった母の他界を良しとし、ガラクタからかなる母への未練やらを、断ち切るような形で、処分を試みたが、想像こえた難題作業に、何度もくじけ、一年をかけたが、未だに空想は空想のままである。 失ったものを、これでもかと、私の頭をわしづかみ、目の当たりにさせられ、離せともがくか、ごめんなさいと逃げるか、そんなんで、掃除などとするのなんて、本当に難しく、そろりそろりと、
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