4人が本棚に入れています
本棚に追加
とある駅構内。
仕事もせず何もすることがない私。
ふと、目の前のゴミ箱を見る。
昨日来たばかりの新品。
彼は大人しくて
ゴミを口に入れらても
嫌な顔一つせず黙って飲み込んだ。
前の奴は歳老いてるせいか口煩く
ゴミが入る度にガコガコと言い
駅中に響いた。
一昨日までの話だ。
一昨日の夕方。不機嫌そうな男が
煙草を吸いながら歩いていた。
駅は禁煙だというのに
マナーの悪い男だ。
男は短くなった煙草をゴミ箱に捨てた。
ゴミ箱はガコガコと怒りながら異臭を出す。
ダイオキシンと言う奴だ。
火は消えてなかった。
ジリリリリッ。
警報が鳴り勇ましい男達が
他の者を誘導した。
その中の一人が私に向かってきた。
私は初めて仕事をした。
私は私に向かって来た
勇敢なる男と並び燃え上がる炎に
口から白い粉を降りかけた。
一瞬で辺りは雪が降った後の様な
景色と静けさだった。
ガコガコと煩かった音が
懐かしく愛おしい。
代わりの若いゴミ箱が静かに座る。
彼女も歳を絶れば口煩く
ガコガコと音を鳴らすのだろうか。
そう思うと私はもう二度と
あんな仕事をしたくないと願った。
最初のコメントを投稿しよう!