41人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「琴ちゃん琴ちゃん、ヘルペスミー!!」
「それを言うならヘルプミーよ。今度はどうしたの?」
朝っぱらからやかましい救助要請。それはもはや挨拶代わりの習慣となっていた。
叫びながら抱きついてきたのは、幼なじみであり親友――音無 胡桃(オトナシ クルミ)。
別に彼女自身は何の変哲もない極普通の女子高生だ。
まぁ、ある一点を除いて、なんだけどね……。
「やぁっと見つけた。ったく、何で逃げやがった?」
「元はといえばお前のせいだろ。大丈夫だったか、音無?」
「宮津(ミヤヅ)先輩、抜け駆けはズルいッスよ!舟江(フナエ)先輩もッス、胡桃センパイびびっているじゃないですか!」
騒ぎながらズカズカ入り込んできたのは、美形2名にイケメン1名。ゲーム風に言うなら俺様系に敬語腹黒系、ワンコ後輩系といったところだろうか。彼らが踏み込んできた途端に、教室の温度が二度上がった。
そんな周りのテンションも気にせず、一直線に彼らは此方に――正確には、胡桃のところに向かってくる。ところが、当の本人は、私の後ろで捨てられた子犬のごとくブルブルと震えていた。
最初のコメントを投稿しよう!