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「で、何の話だったんですか?」
毒づいている宮津先輩に問い直してみたものの、その答えは後ろから返ってきた。
「音無達に生徒会補佐をやってもらいたい、ってことだろ?」
その声が響いた途端、教室のテンションはピークに達する。
声に引きずられ、恐る恐る振り返ってみると、烏羽(からすば)色の髪と、同じ色の目を持った男前が扉に寄りかかりながら立っていた。
「月見里(ヤマナシ)会長……」
「おはよう、千羽。毎度毎度悪いな、ウチの連中が」
「そう思うんだったら、もっとちゃんと躾て下さいな。一応リーダーなんですから」
「アッハハ!相変わらずキツいなぁ、お前は」
彼と話しながら、自分の肩から力が抜けていくのが分かった。話が通じるって素敵だなぁ……。
「ところで、生徒会補佐って何ですか?」
「あぁ、まあ読んで字の如くだ。要は他の役員の手助けをする事務員だな。ウチの学校はヒラの役員がいないから、その代わり5人まで学年関係なく引き抜けるんだ」
「……そんな制度、初めて聞きましたけど?」
「確かに、仕事は役員だけで終わらせられるモンばっかだからな。使う先輩方も少なかったんだろう。でも手帳にはしっかりあるぜ」
胸ポケットを叩きながら、会長はニヤリと笑った。
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