芋虫と蝶

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 カツン、カツンと誰もいない階段に足音が響く。外からは部活に励む生徒達の声が聞こえてくる。 「はぁ、ここまで足が重いとはね……」 「このまま体調不良で帰っちゃダメかなぁ……」 「ダメに決まってるでしょ。つか元の原因はアンタなんだけど、胡桃?」 「不可抗力だよ!――でもあの3バカトリオだけじゃなくって会長まで来るとは思わなかったなあ」 「確かにね……」  とうとうあの人も胡桃の体質に引っかかったのだろうか、とボンヤリ考えてみる。けれど、どうしてか違和感が拭えない。元々何を考えているか分からない人だったけど、今は更に分からなくなってしまった。 「ホント、何考えているんだろ……」  思わず出てしまった呟きに慌てて胡桃の方を向けば、振り返る様子もなくてホッとした。――まるで、会長のことが知りたいみたいじゃない。 「琴ちゃん、とうとう来ちゃったよ……」  小声で胡桃が囁いた。ぐるぐると頭で考え事をしていたら、いつの間にやら近付いていたようだ。  この学校は四階建て。その四階の一番端には、校長室に匹敵するほど威厳ある扉を持った部屋が存在する。  その部屋こそ、私たちの目的地でありイケメン集団の本拠地――生徒会室だ。
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