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金髪の少女――クレハは、フレイの背後を襲い掛かかった。
ウエストポーチから取り出しておいた刃渡り六センチメートルのナイフの先端を、フレイの首元まで一気に伸ばす。
フレイの口から出た"魔王"という単語がクレハを突き動かす。
魔王だけは絶対に許せない!許してはいけないんだ!
身体は怒りで熱くなる。けれど心は静かに。状況を見極める。
襲うにしたって命を奪う気はない。場合によっては、彼の肢体の一部をナイフで切り裂く程度の覚悟はあるけれど、それは彼の態度次第だ。
魔王についての情報を聞き出す。彼が好意的ならナイフは下げるし、そうでなければ最悪戦闘になる。ならば先手必勝だ。
しかし刃が延びきる寸前、フレイの頭が持ち上がりクレハの顎を突き上げた!
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