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「痛っつーーー!」
「きゃはぅっ!?」
金髪少女とぐちゃぐちゃ頭の少年は共に、声を出して盛大に悶えた。
自分に対して無警戒だった相手からの虚を突くような反撃に、クレハは回避する間もなく顎への直撃を受けた。
ジーンと痛む顎を片手で抑えつつ、慌てて戦闘態勢を保つ。
多分に距離をとり、注意深く少年を観察する。
汚らしい栗色の癖毛にこれまた汚らしい上着姿に惑わされてはいけない、とクレハは最悪の場合を考慮して瞳に殺意を宿す。
私の気配に気づかない振りをして接近させ、まるで後頭部に目がついているかのような、的確な反撃……。
先ほどの怪しく光る球体を操る術といい、彼がただ者ではないのは間違いなさそうね。
そんなクレハの読みとはおよそ遠いフレイは、未だにクレハの存在にすら気付くことなく、クレハの顎とぶつけた後頭部を呑気に労わるように手で摩っていたりする。
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