精一杯の私を

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気が付くと周りにクラスの女子が集まっていた。恥ずかしい…でも、誰も彼である事は分からないはず…それだけが救い。 「かわい~な~。誰?この学校の人!?」 彼女が尋ねて来た。周りの女子も興味津々の様子だ。どうしよう。誰か助けてくれないだろうか。100円あげるから。そんな事考えているとドアの方から声がした、 「長門。教科書返しにきたんだがいるか?」 !?何故彼がここに。教科書を返しに来たといっていたが…なんてバットタイミング。いや、確かに助けて欲しいとは思ったけどこの場合彼は例外。普段ならいつでも助けて欲…いや、これは非常事態。100円はあげる事は出来ない、むしろ罰金に価する。 私がコンマ1秒の間に人生最大に脳をフル回転させていると最初に声を掛けてきた彼女が私をちらっと見た後彼の方に向かった。何事か話した後、教科書を抱えて戻って来た。 「はい、教科書。返しに来たんだってさ。」 彼女がニヤニヤしながら教科書を渡してきた。まさか… 「デートの相手って今の子だね~。確か涼宮さんと一緒にいる人。え~と…キョンくんだっけ。」 …き、気付かれた。彼がこのタイミングで来なければ…お恨み申し上げる。
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