311人が本棚に入れています
本棚に追加
女である藤崎。
こんな日がくるとは思わなかった。
一生、ナオトとつきあっていくような気がしてた。
女を好きになれる…かも?
いや、もちろん芽生えたばかりのオレのこの感情、消してしまうわけにはいかないから、藤崎には言わないけど。
藤崎一鼓。
オレの特別。
オレは藤崎をイチコと呼ぶことにした。
だって特別だし。
イチコにもショウヘイって呼ばれたいけど、今はまだいい。
イチコとの同居生活は順風満帆。
洗濯して干そうとしたイチコのブラとぱんつをじっくり眺めてしまって、イチコに奪われたけど。
あれは殴られるかと思った。
いや、しかしですね?
目の前に自分好みの女性下着があると思わず手がとまるもの……って、オレだけかもしれないけど。
その後、イチコはオレに洗濯させてくれなくなった。
うん、それ正解だろうな。
いつかあの下着盗んでいただろうし。
で、空想下着泥棒のせいにしていた。
一緒にテレビを見て、団欒して、イチコの手料理食べて。
なんかものすごくこの同居生活を楽しんでいたところ、ナオトが不満言ってきた。
オレがイチコと同居していることは報告済みではあるけど、同居しているから夜遊べないとか、家には入れられないとか、まぁナオトを遠ざけていたことに気がつかれた。
土曜の夜、オレは今までの埋め合わせをするかのようにナオトと遊びに出かける。
イチコ、今日バイト休みのはずだし、一人で何してるだろ?なんて上の空になっていたことに気がつかれた。
「ショウヘイ、俺、ショウヘイとつきあってる…よね?」
ナオトの優しい口調はどこか恐ろしいものを感じる。
「で?イチコとの生活、そんなに楽しいのか?ん?」
笑顔で聞かれるとよけいにこわい。
イチコのことを口に出しすぎたかもしれない。
その日、オレが悲鳴をあげるまでナオトに犯され続けたのは言うまでもない…。
たぶんナオトもわかっているんだろう。
オレが男にしか興味のない真性のゲイではないことくらい。
だからイチコに嫉妬する。
イチコの気持ちがオレにあるわけじゃないのに。
イチコがオレのなら、どれだけ嫉妬されてもかまわない。
同居が決まったその日から、オレはイチコを見ていた。
オレの特別な女として。
最初のコメントを投稿しよう!