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友人たちは一人暮らしをうらやましがった。
だったらおまえの親を貸してくれと言いたくなった。
「ショウヘイ、だったら彼女でもつくってやってもらえば?」
家事の面倒さを語るとそう言われてしまった。
女……か…。
小さい頃から引っ越してばかりで、ほとんどが中学3年以上からの友人だらけ。
誰もオレの過去を知らない。
友達100人つくったと思えるけど、本当のオレなんてみんな知らない。
「友達だけでじゅうぶん。今は彼女いらないし」
なんて、男友達と馬鹿やってることが楽しいかのように言うと、モテるくせになんてヘッドロックかけられた。
いや、別にモテないと思うけど。
本当は違う。
そんな理由なんかじゃない。
「えー?葉山、私とつきあおうよ?」
なんて女たちが調子に乗って言ってくる。
「掃除してあげるよ?」
「あ。それはうれしいかも」
オレがそう答えるとみんな笑う。
本気でオレの彼女になりたいなんて言ってくれているわけじゃない。
冗談で軽いノリで。
だからモテるわけじゃないって思ってた。
けど、ある日、友達だと思っていた女から、携帯にメールきて。
本気でつきあおう?
なんて言われて。
笑い飛ばしてくれる仲間もいない。
どう言えばいいかわからない。
オレの過去を話したくもない。
女なんて生き物は口が軽くて、一人に話せばすぐにまわり全員が知っているような状態になりそうで。
そう。オレははっきりいって女が苦手だった。
友達しているぶんには平気だ。
けど、つきあうとかマジで有り得ないって思う。
苦手?こわい?
とりあえず嫌だ。
オレはずっと恋愛なんてできないと思う。
そんな素質は一切ないんだ。
告白してきた子への返事は一言。
ごめん。
一生恋愛しないで暮らしていけるとも思わないけど…。
オレの女嫌いは、これでもマシになったほうだと思う。
もっと昔は友達にもなれなかった。
手がかするだけで振り払った。
場合によっては、相手は何も悪くないのに睨みつけた。
すべての元凶は小学校のとき。
あれからオレの人生は狂ったのだと思う。
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