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戻るのは本当に一瞬だった。
まばたきをしたら前に居たはずのフウコが消え、拓の手には昨日見た、刀身1メートル程の日本刀があった。
『私を持ってみてどうですか? 拓さん』
そしてその刀からフウコの声が聞こえた。
「あぁ、いい刀だな。何でも切れそうだ」
拓は刀のことなど知らないが、純粋にそう思えた。
『それは嬉しいです。では、本格的に私の能力を説明します。…そうですね、手始めにあの木の枝を斬ってみて下さい。』
言われた通りに木の枝を斬る。
すると斬り落とした枝は、地面に落ちずに斬った瞬間風化した様に消滅した。
拓は鳥肌が立つのを自覚しながらフウコに訊いた。
「…おい、フウコ、今のが…」
『はい、今の現象が英霊剣である私に与えられた恒常展開型固有剣技(アビリティ)、〈魂斬り〉です』
更にフウコは説明を続ける。
『元々私の名前の"布都"は"断ち斬る"という意味なんです。
我が名が示すは魂を断ち斬ること。
斬ったモノはその物質の中心からの魂の供給を断ち斬られ、即座に消滅します』
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