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言葉が出ない拓を知ってか知らずか、フウコは説明を続ける。
『私達英霊剣にはあともう一つ、任意発動型固有剣技(インヴォーク)という能力もありますが、こちらは相手が一定範囲内にいないと使えませんから今は…』
「もういい」
『…え?』
「もういい、帰るぞ」
そう言うが早いか、拓はフウコを地面に置き家へ歩き始めてしまった。
フウコが拓の部屋に着くと、拓はベッドに仰向けになり腕で表情を隠していた。
『あの…拓さん…』
「フウコ」
遠慮がちに言葉を紡いだフウコを拓のはっきりした声が遮る。
「おまえら英霊剣っていうのは皆あんな能力を持ってるのか? あんな恐ろしい能力を」
『いえ…私のはあんな能力だから少し特別で…自分より魂が格下のモノにしか効かなくて…』
「…そうか…」
拓の表情はわからないが、明るい顔をしていないことくらいはわかった。
「…しばらく一人にしてくれ」
『…はい』
頷いたフウコは、これも英霊剣の能力か、その場で姿を消した。
この時拓の身体が震えていたことはフウコには知るよしもなかった。
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